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2024年度 Google 広告のクリック単価はなぜ上昇したのか
2025-07-30
WordStream 最新ベンチマークを徹底解析し、広告主が取るべき7つの対策を提言
はじめに —「クリックは増えたのに高くつく」現象の正体
WordStream が 17,000件超 の米国キャンペーンを解析した2024 Google Ads Benchmarksによれば、検索広告の平均クリック率(CTR)は 6.42% と改善した一方、平均クリック単価(CPC)は 4.66 ドル へ上昇し 前年比+10.4%(+0.44 ドル) となりました。 同時に、 ・86 % の業界で CPC が上昇 ・CPL(リード獲得単価)は平均+25 %
CTR が改善しているにもかかわらず CPC が高騰する――本稿はこの「クリック単価インフレ」に焦点を当て、業種別データ・構造要因・リスク・7つの実践策 をまとめます。
全体像:平均 CPC は 4.66 ドル、過去5年で最高水準
指標 | 2023年 | 2024年 | 変化幅 | 伸び率 |
---|---|---|---|---|
平均 CPC(全業種) | $4.22 | $4.66 | +$0.44 | +10.4 % |
出典:WordStream 2023・2024 Benchmarks
- ・86 % の業界で CPC が上昇
- ・CPC 下落は4業種のみ(Finance & Insurance など)
- ・CTR は 6.42 %(前年比+5 %)と上昇
- ・クリック総量が増えたにもかかわらず 1 クリック当たりのコストがさらに高くなり、広告主の ROI を圧迫
業種別に見る「高騰」と「値下がり」
CPC が大きく上昇したトップ3業種
業種 | 2023 | 2024 | 伸び率 |
---|---|---|---|
不動産 | $1.55 | $2.10 | +35.5 % |
スポーツ&レクリエーション | $1.77 | $2.34 | +32.2 % |
個人サービス | $3.90 | $4.95 | +26.9 % |
相対的に下落した業種
業種 | 2023 | 2024 | 伸び率 |
---|---|---|---|
ファイナンス&保険 | $4.01 | $3.00 | -25.2 % |
弁護士・法律サービス | $9.21 | $8.94 | -2.9 % |
ビジネスサービス | $5.47 | $5.37 | -1.8 % |
CPC 上昇を招いた4つの構造要因
# | 要因 | 具体像 |
---|---|---|
3-1 | マクロ経済:インフレと利上げ | 高インフレで広告原価も上昇、入札単価が吊り上がる。 |
3-2 | SERP デザイン変化 | 広告がオーガニックに“溶け込む”ことでクリック増。ブロードマッチ標準化に伴い意図弱い検索語まで配信→CVR 低下。 |
3-3 | 競合増加 & AI 入札高度化 | tROAS / Maximize Conversions が普及し「勝つまで入札」状態に。 |
3-4 | Google の収益構造 | 司法省の訴訟資料は「Google が CPC を調整できる」可能性を示唆。 |
CPC 高騰がビジネスにもたらす3つのリスク
- CPA(顧客獲得単価)の上昇 CPL は前年比 +25 %
- 広告 ROI の悪化 同じ予算でも流入が減少、または質が低下。
- マーケティングミックスの再設計必須 検索依存度が高い企業ほど影響大。
CPC 上昇局面で ROI を守る7つの実践策
# | 打ち手 | 期待効果 | 推進のヒント |
---|---|---|---|
1 | キーワード意図分類 & 除外語精査 | 不要クリック削減 | Search Terms レポートを週次レビュー |
2 | 品質スコア(QS)最大化 | 掲載順位維持・CPC 低減 | 広告文とLPを1:1対応 |
3 | LP 高速化 & CRO | CVR ↑ → 実質 CPC 圧縮 | Core Web Vitals / ヒートマップ確認 |
4 | オーディエンスセグメント活用 | 無駄クリック排除 | 1st-party データで類似配信 |
5 | Microsoft Ads 併用 | CPC 約30%安 | UET タグ共通実装 |
6 | 自動入札のガードレール | 暴走入札抑制 | tROAS に上限 CPC を併用 |
7 | 検索外チャネルとの組合せ | リスク分散 | P-Max・SNS・紹介キャンペーン |
まとめ & アクションプラン
- ・平均 CPC は 4.66 ドル、前年比+10 %。不動産・レジャーは30 %超の急騰。
- ・インフレ、競合、SERP 変更など複合要因で「クリック単価インフレ」が常態化。
- ・品質スコア改善・LP 最適化・チャネル分散 が防衛線。
- ・2025 年も CPL 上昇トレンドは続く見込み。早期にデータ基盤と計測体制を整え、AI 入札を“賢く制御”することが差別化要因。
次の一手(90 日ロードマップ)
- 自社アカウントの平均 CPC・QS を月次トレンドで可視化
- 業種別ベンチマークとの乖離を特定
- 上記7施策を優先度付けし、90 日実行計画を策定
クリック単価の高騰は脅威であると同時に、最適化スキルを持つ広告主にとっては大きなチャンスです。本稿データを活用し、自社 PPC 戦略をアップデートしてみてください。