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賃貸・不動産

賃貸の紹介キャンペーンを
50個調査して分かったこと

2020-12-21

皆様こんにちは、インターン生の田邊です。
今年も残り1ヶ月を切りましたが、いかがお過ごしでしょうか?
アメリカでは感謝祭が終了し、次はクリスマスに向けて街の空気が一変しています。

さて今回のブログでは、賃貸の紹介キャンペーンを50個調査・考察いたしました。
前回の不動産の紹介キャンペーンについての記事の賃貸版として今回の記事を執筆いたしました。

賃貸の紹介キャンペーンはECサイトフィットネスクラブで用いられる紹介戦略を応用できる部分も多々ありますので、まだ記事を読んでいない方はこれらも合わせてご一読ください。

本日も読者の皆さんが、何か新しい集客のヒントを掴んで頂けると幸いです。

賃貸の紹介キャンペーン調査概要

今回の調査では以下を元に簡単な「賃貸の紹介キャンペーン調査」を行いました。

①調査日:2020/11/28
②調査対象:賃貸の紹介キャンペーンを展開している50社(ランダム)
③調査内容
 ・紹介者特典
 ・紹介者特典金額
 ・紹介された人の特典
 ・紹介成約ポイント
 ・店舗側への伝え方
 ・紹介者間の紹介方法

これらのデータを分析することで、賃貸で運用されている紹介キャンペーンの傾向や改善点が明白になりましたので、カテゴリー別に私の考察も添えてお伝えしていきたいと思います。

賃貸の紹介キャンペーンの流れ

調査の結果賃貸業界の紹介キャンペーンを簡単にまとめると以下の図の様になりました。
この紹介のフローを頭の片隅に置いて、調査結果の詳しい考察に進んでください。

調査結果1【紹介特典の考え方】

まず初めに紹介キャンペーンの肝といっても過言ではない「紹介特典の考え方」についてですが、紹介者特典、紹介された人の特典、紹介特典の金額設定の視点から調査いたしました。

1,紹介者特典

紹介者特典とは文字通り「紹介した人が貰える特典」を指します。
よくある特典としては、商品券(QUOカード)、ストアクレジット、割引券、無料サンプル、ギフト、現金還元などが挙げられます。

この中でも賃貸業界でよく設定されている特典は、QUOカード、割引(仲介手数料割引、翌月の家賃割引等)、商品券、現金還元でした。それぞれの比率は以下の表をご参照ください。

一番よく使用されている特典はQUOカード(36%)ですが、商品券、現金還元もそれぞれ全体の30%程度ずつ使用されているので、QUOカード、商品券、現金還元の3つが主に特典として贈呈されていることがわかります。

2,紹介された人の特典

紹介された人の特典とは「紹介された人が成約をして貰える特典」を指します。
近年は紹介された人の特典を設定していない企業も見受けられますが、こちらも非常に重要なキャンペーンの要素です。

また紹介された人の特典の種類は基本的には上記の紹介者特典の考え方と似ていますが、紹介された人の次の動きを考えた特典の設定が大切です。

以下の表から読み取れる通り、紹介された人の特典は割引特典(仲介手数料無料、初月の家賃割引等)が全体の28%を占めていることがわかります。一方「QUOカード」や「特典なし」もそれぞれ25%程度利用されているので、これら3つ(割引特典、QUOカード、特典なし)が主に紹介された人への特典として選択されています。

上記のグラフから読み取れるように、「特典なし」と設定している企業が全体の24%存在します。参考までにですが、私が2020年にアメリカ中西部で実施した紹介キャンペーンに関する調査では、約80%の被験者が「紹介者、紹介された人の両者が特典を貰う構造が好ましい」という結果がでています。日本人との考え方の違いはあるかとは思いますが「特典なし」は基本的に紹介キャンペーンでは好まれません。

また紹介された人への特典として「割引」を設定するのは心理的お得感だけではなく、「仲介手数料や家賃が安くなるのなら誰かに紹介してもらえないか」という心理が紹介される人に働き、紹介される人が紹介者を探すような流れが起こる可能性さえもあります。紹介キャンペーンを活性化するという意味では参考にしたい特典設定です。

紹介特典まとめ

紹介特典のまとめとして、全体の約80%が紹介者、紹介された人双方に特典を贈呈しているという結果になりました。この点に関してはさらなるリサーチが必要ですが、心理的観点からしても紹介者・紹介された人の両者が特典を貰える方が紹介率があがると予想できます。

また「割引」を紹介者特典として採用している企業は全体の4%ですが、紹介された人の特典として設定している企業は全体の28%にも及び、かなり高い割合で採用されていることがわかります。上記で考察したように、紹介された人からすれば心理的お得感や逆紹介が起こりやすい環境を作ることができるので、非常に有効な特典設定だと考えます。

紹介特典として最もよく使用されている「QUOカード」は扱いが簡単なので採用している企業が多いということでしょうか。こちらも裏付け調査が必要ですが、商品券、現金も似たような理由であると予想できます。特に賃貸は繰り返し購入するものではないので「次回の購買に繋がるような特典設定」という考え方は不要です。ユーザーが汎用的に使用できる、現金関連の特典が適切なのではないでしょうか。

最後に、紹介された人の特典がQUOカードの時(全体の26%)、紹介者特典は必ずQUOカードを特典として受け取っていうことがわかりました。この場合、顧客へのキャンペーン訴求の方法は「紹介者・ご成約者様の双方にQuoカードをプレゼント!」が1番よく使用されています。紹介者・紹介された人双方に優越をつけないことで、紹介者の心理的負担を軽減する狙いがあるのでしょう。こちらも大変有力な紹介特典とその考え方であると考えます。しかし違う特典をもらうというのは効果的なのか、その場合紹介者に心理的負担があるのかについては裏付け調査が必要です。

3,紹介特典の金額設定

紹介特典を設定する際の大きな懸念として「特典金額」が挙げられます。
紹介特典にはどのくらいの価値が必要なのか、悩ましいところではないでしょうか。

賃貸業界での紹介特典金額は、全体の76%が10,000円以下に設定、特に58%が5,000円以下に設定されていることがわかりました。これらはあくまでも傾向ですが、賃貸業界は不動産に比べて動くお金が少ない傾向にあるので、自然と特典金額も下がります。したがって賃貸業界で紹介特典を設定する場合には最大でも10,000円を目安に検討していくと良いかと思います。

そして余談ですが、QUOカードを紹介者特典として運用している企業の83%は、紹介者特定金額を5,000円以下と設定していることもわかりました。QUOカードを紹介特典として考えている場合は5,000円以下を1つの目安としてまず検討してみるのはいかがでしょう。

調査結果2【キャンペーン構造】

次に賃貸のお友達紹介キャンペーンで1番よく使用されているキャンペーンの構造(特に顧客から店舗への伝達方法)について考察していきます。

顧客から店舗への伝達方法は業界によりきりですが、Email、同時来店、電話、申込みフォーム、紹介された人が口頭伝達など様々な方法があります。一般的に企業と顧客が対面する機会が多いタイプ(不動産、賃貸、フィットネスクラブ等)は口頭伝達などの方法が多く見られ、ECサイトのようなオンラインで全て完結するビジネスの場合はURLから自動追跡などの方法がよく使用されます。

以下の表より今回の賃貸業界では、申込みフォーム、電話、店舗来店などがよく使用されていることがわかります。

1番よく採用されている方法は「紹介された人が来店時に口頭伝達する方法(全体の46%)」でした。紹介された者からすれば、一言伝えるだけで良いので手軽に紹介が成立すると考えられます。賃貸という商品の性質上、顧客は高確率で来店する場合は多いと考えられるので、大変理にかなった顧客目線の方法です。一方で店舗側からすると紹介者と紹介された人の紐付け作業を手作業で行う必要があるので注意が必要です。

口頭伝達に続き、よく使用されている方法が「申し込みフォーム(全体の28%)」です。特に紹介した人が直接申込みフォームに入力するケースが多く見られました。紹介者からするとフォーム入力はかなり煩わしく感じる可能性もあります。しかし店舗側への負担を考えると、フォーム入力→自動で紹介者と紹介された人を紐付けという流れは、キャンペーンのスケールアップの際は必須になってくるのでなないでしょうか。

私の考察では、紹介者が電話・Email、同時来店等の方法を用いて店舗側へ紹介の伝達をする方法は「心理的負担」や「時間消費」なども面から見ても、採用すべきでないと考えます。実際に私のリサーチの範囲では、海外の最先端の紹介キャンペーンでこれらの方法を採用している企業は見たことがありません。例えば上記で取り上げた「申込みフォーム」はGoogle form や Airtable等を用いれば簡単に作成でき、その後の顧客管理まで一貫して行うことができます。全ての場合に当てはまるわけではありませんが、これらの方法を導入することを推奨いたします。

また店舗側への伝達のために複数の方法を組み合わせている例(フォーム入力後→同時来店等)がありましたが、紹介プロセスが長いキャンペーンは「手軽な紹介」が損なわれてしますのでこちらも避けるべきだと考えます。

調査結果3【紹介者間の紹介方法】

紹介者と紹介された人の間でどのように紹介が発生するか、というのが3つ目の調査になります。
一般的によく用いられる紹介方法は、自動Email、SNS共有、専用リンクの共有、チラシの受け渡し、口頭伝達等です。
特に昨今は、紹介したい人のメールアドレスを入力すると、本人にブランド情報や紹介キャンペーンについての情報が自動で送信される手法がよく使用されています。SNS共有や専用リンク共有も同じ原理です。

一方で賃貸業界では調査対象の50社すべてが「口頭伝達」でした。
これには以下の2つの可能性が考えられます。

1,賃貸は頻繁に紹介するものではないので、口頭伝達で十分機能する
2,紹介キャンペーンのノウハウが少なく、口頭伝達以外の選択肢がない

特に前者の「賃貸は頻繁に紹介するものではないので、口頭伝達で十分機能する」は賃貸業界特有の特徴だと言えます。

ファッション系ECサイトの例を挙げると、ファッション系は顧客の購買頻度が賃貸に比べてもかなり高く紹介が発生しやすい業界です。さらに1人の顧客が数人に紹介するという場合や、ECサイトを利用する人の特徴の1つとして「利便性」を求める顧客層が一定数いるという特徴があります。これらの事象を考慮すると「口頭伝達」という方法は効率的ではありません。顧客が何度も営業活動をすることになりかねないからです。これらを考慮してファッション系ECサイトでよく用いられるのは「自動Email、SNS共有、専用リンクの共有」のどれか、または3つ全ての選択肢を顧客に与えるという方法です。もちろんここまで大規模な紹介キャンペーンを行うためには、それを十分管理・サポートできる専用システムの開発が必要になりますが、大変参考にしたい例です。

話を賃貸に戻すと、紹介頻度があまり高くない場合は既存の「口頭伝達」でも機能するかとは思いますが、顧客の利便性や今後のスケールアップを考えると「自動Email、SNS共有、専用リンクの共有」のどれかを採用し、「紹介キャンペーンの仕組み化」を進めていきたいところです。

賃貸の紹介キャンペーンの考え方まとめ

・紹介者特典はQUOカードか商品券
・紹介された人の特典はQUOカードか割引(仲介手数料無料、初月の家賃〜%OFF等)
・特典金額は5,000円を目安に考え3,000円~10,000円の間で検討
・顧客から店舗への伝達方法は申込みフォームをまずは検討(自動化ができれば最良)
・紹介者間の紹介方法は口頭伝達に加えて「自動Email、SNS共有、専用リンクの共有」などの顧客の負担を減らす方法を検討

最後に

いかがだったでしょうか?

紹介キャンペーンに関するデータは海外では沢山出ていますが、日本ではまだ情報が少ないのが現状です。
私も皆様に有益な情報を発信していけるよう、情報収集とデータ分析に取り組んでまいりますので、引き続きブログのご購読をお願いいたします。

SNSでも口コミ・紹介キャンペーンに関する有益な情報発信を始めましたので、是非フォローをお願いいたします。

最後までお読み頂きありがとうございました。