口コミ
【解説】口コミの本質とマーケティング活用方法が分かる記事
2020-10-29
皆様こんにちは、インターン生の田邊です。
つい先日、以前のブログでお話した毎月1000円で通えるアメリカの超大型フィットネスクラグ「Planet fitness」に行ってトレーニングをしてきました。
感想は「初心者〜中級者にとってはとてもトレーニングしやすく、上級者以上にとっては少し物足りない?」といったところですが、私は満足でした。
このPlanet fitnessの紹介キャンペーンについて以前の記事で取り上げていますのでご興味のある方はこちらからどうぞ。
Planet fitnessの感想は最近開設したSNSでも発信していこうと思いますので、是非フォローをよろしくお願いいたします。(現在運用のチャンネルはTwitter、Facebook、そしてフィットネス関係者の方々へのイチオシのInstagramです)
口コミを制するものは紹介キャンペーンを制す!この意気込みで当記事を執筆しましたので、是非最後までお付き合いください。
なお紹介キャンペーンの細かいテクニックに関して、ご興味のある方はこちらも合わせてご一読ください。
【口コミの本質】味方につければ心強い存在、しかし敵に回すと1番の脅威に!
さてそんな今回の記事では「口コミの本質」についてFRANCIS A. BUTTLEさんが1998年に執筆した論文「Word of mouth: understanding and managing referral marketing」を参考に考察していきたいと思います。かなり古い記事ですが、口コミの起源を紐解いてゆくという意味でも面白い内容になっていると思います。口コミが持つ大きな力については1998年頃から議論されてきた歴史があります。
*FRANCIS A. BUTTLEさんとはコンサルタント、大学教授として世界中で活躍されていたビジネスの正解でもかなり権威のある方です。
出典:http://www.francisbuttle.com.au/
補足ですが、口コミの本質よりさらに前の1967年にArndt, J さんが執筆した「Role of product-related conversations in the diffusion of a new product」という論文が口コミの有益性について書かれた論文が最初の諸説とも言われています
かなり昔から「口コミ」については議論されてきました。
口コミと紹介は似ているようで実は違います
皆さんは口コミと紹介との違いについて説明できますか?
この2つは互いに相関関係にあり、定義には様々な意見があるかとは思いますが、私の見解は以下になります。
口コミ:口コミは実際に商品を購入/サービスを体験した人々の「感想」であり、それは他人の理解/感覚/感情/行動などに影響を与えることのできる程の大きな力を持つ。我々が「口コミ」と聞いてまずイメージするのはネットに書かれたレビューなどですが、これはあくまでも言語化された一部の感想に過ぎず、大半の口コミは各自の胸の内にしまわれています。ちなみに口コミは「ネガティブな口コミ」と「ポジティブな口コミ」の二種類が存在します。
紹介:一方で紹介は「ポジティブな口コミ」が生み出す顧客の1つの行動です。イメージしてみてください。もし昼食を食べたレストランが口に合わなかったら、あなたはそのレストランを他人に紹介(おすすめ)しますか?しませんよね。
ですので紹介キャンペーンを運用する時は、以下の2つがポイントになります。
・ポジティブな口コミを起こすような仕掛け作り
・そのポジティブな口コミを「他の人も見れる」ような環境つくり
この2点をクリアして初めて紹介キャンペーンの戦略という流れになるのではないでしょうか?
いきなり紹介キャンペーンだけを着手してもなかなか思うような成果はでないでしょう。
口コミが持つ驚くべき力
そんな紹介キャンペーンの最初のきっかけの口コミですが、口コミは単体でも凄まじい力を持っています。
口コミの活用に関しては沢山の学者もその有益性について述べており、口コミは認知/期待/行動/態度/顧客の行動など様々な側面からビジネスにプラスの影響をもたらすとされています。その中でも当論文が紹介している Day, G.S さんが1971年に執筆した「Attitude change, media and word of mouth 」という論文では「口コミは広告等の一般的な集客手段よりも9倍効率的に顧客をコンバージョンに導くことができる」との見解を示しています。
データとしては少々古いものなので、様々な情報が錯綜する2020年の現在との多少の誤差はあるかとは思います。
しかし口コミの有力性を示す1つのデータとしては非常に興味深いデータです。
またMangoldさんの1987年の集客/口コミの研究でも「口コミはその他の広告チャンネルと比べて、顧客の購買時の意思決定に非常に高い影響力があるとの見解も発表しています。
両者とも少し古い研究ですが、2020年の現在でも「口コミは集客のポイント」という認識が一般的ですので、口コミを取り巻く基本環境に大きな変化はなく、これらのデータに一定の信頼を置けると考えられます。
口コミは簡単に脅威にもなりうる
これまで当ブログでも「口コミはいいことだらけ」という方向でご紹介してきました。
これは正解ですが、何事においてもデメリットを理解し事前にリスク回避を行うことは大変重要です。
「口コミは脅威にもなりうる」というのは紛れもない事実であり、この記事を読んでいるすべての皆さんが絶対に避けなければいけないことです。
FRANCIS A. BUTTLEさんの記事を参考にすると「口コミはポジティブにもネガティブにも働き、ネガティブな口コミはポジティブな口コミよりも大きな影響力を持つ。購入した商品/サービスに不満足な顧客は、満足した顧客に比べ2倍の確率で他人にその経験を伝える(つまり口コミを起こす)」との記述があります。
つまり「ネガティブな(低評価)の口コミが多いと、それは会社にとって非常に大きな脅威である」ということになります。
考えてみてください。あなたがネットで買い物をしている時、お目当ての商品のレビューが酷く、低評価ばかりだった場合、そのまま躊躇せずに購入しますか?一部の場合を除き、購入の選択肢から外すのではないでしょうか?また自身が購入した商品がすぐ潰れてしまい、カスタマーサービスの対応も悪かった場合、この複雑な思いを誰かに共有するもしくはレビューとして残すという行動を取る人もいます。少なくとも私は将来自分と同じ経験をする人を減らしたいという思いから、事実談を元にしたレビューを残したりもします。
このような最悪の事態を避けるためにも、日頃から顧客の声に耳を傾け、いいイメージを持っていただいたお客様には積極的にレビューを残してもらう仕組みは必須といえるでしょう。
レビューの残し方はビジネス形態により異なりますが、飲食店/フィットネスクラブ/学習塾ならばGoogle マイビジネス
のレビュー欄。ECサイトなら各商品のレビュー欄といったところでしょうか。
一度口コミを敵に回してしますと、そこからの回復はかなり大変な道のりです。いまのうちから、ネガティブな口コミを生まないような顧客体験の提供を再度心がけていくのはいかがでしょうか。
実例から学ぶ「口コミの力」
先日授業でロサンゼルス(以後、LAと書く)を本拠点とするアメリカではかなり有名な広告代理店のCEOの方からのお話を聞く機会がありました。
その中で口コミに関する興味深い実体験をお話されていたので共有したいと思います。
彼が担当していたLAのある植物園のイベントの広報で、100万枚のチケット売上を目標にしていました。前年度の売上数50万枚と比べると、かなり大きなこの目標を達成するために多額の予算と頭脳を用いて広報活動を行ったがイベント開始から数日たってもなかなか売上は伸びなかったそうです。この理由を考えたところ「イベントの口コミ数が非常に少なく、その大半がネガティブな内容だった」という事実が判明。イベントの内容自体に問題はなく、来場数と比べても満足しなかった少数の顧客のレビューだけが残されている状態だったため、急遽イベント会場の出口でレビューを残してくださいと1人1人に声をかけ、レビューを充実させました。するとそのポジティブのレビューを見た人々が押し寄せ、あっという間に目標の100万枚を達成したそうです。
もちろんマーケティングの訴求ポイントの調整などの微調整も行ったようなので、口コミだけが決め手ではないでしょう。
しかし、「口コミ数が非常に少なく、その大半がネガティブな内容」の時は客足が悪かったが、口コミが増えポジティブなレビューが増えたことにより客足が一気に伸びたというのはまさに「口コミを味方につけた」事例の1つに当たるのではないでしょうか。
最後に
いかがだったでしょうか?
口コミはまさに顧客体験の素直な感想。
そんな口コミは良くも悪くも働く大きな力を持つ存在である。
この点をしっかりと押さえて、これからの口コミ活性化、紹介キャンペーンの戦略作りを行ってみてはいかがでしょう。
是非口コミを味方につけてみなさんのビジネスを成功に導いてください!
口コミを制するものは紹介キャンペーンを制します。
最後になりますが、SNSでも様々な口コミ/紹介キャンペーンに関する有益な情報を発信していますので、是非フォローいただければと思います。
参考文献:Word of mouth: understanding and managing referral marketing